ミツバチにも異変
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たった今フジテレビ系列で放送の「サキヨミ」で、ミツバチの大量死について特集していた。
この話は、最近あらゆる媒体で目にし始めたり、私の周囲でも話題になっていたが、番組では青山学院大学の福岡伸一教授が登場し解説していてウイルスの可能性にも言及していたので、つい書き残そうと思った。
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この世界的なミツバチの減少は、ある研究者によると欧米などで約30%、中にはドイツの様に50%以上も減少した地域もあるそうだ。日本でも同様の現象が起きていて、イチゴ等の果物・野菜の受粉に必要なミツバチの不足が起こり深刻な問題になっているという。このまま解決されないと、深刻な食糧問題に発展する危険すらあるのだ。
では何故ミツバチが急速に減ってしまったのだろう?
番組では、まずダニ、農薬、そして地球温暖化等の影響が指摘されていると紹介。またアメリカなどでは農業用のミツバチは合計2万5千キロもの大移動を強いられた上、栄養剤を浴びせ掛けられ強制労働させられるのだそうで、いくら働きバチといえどもその長距離移動によるストレスや大規模単一栽培農場での集中受粉活動によって、栄養不足に陥ったミツバチ自体の免疫力が低下しているのではないかという。
ところが、上記の条件とは一切重ならない日本の旧式な養蜂場でもハチの減少が報告されており、原因は究明されないまま一体何が原因だろうか?状態でスタジオに戻る。
福岡教授(理工学部化学・生命科学科分野)は、最近ではウイルス感染等も原因とみらると話し、さらに狂牛病の例を持ち出して、人間が効率化を求めて本来草食動物である牛に骨粉などを与え肉食を強要するなど、自著である「動的平衡」というキーワードを用いて、人間の進める効率化のもとに生物の多様性が失われ、そのしっぺ返しが来ているのだと説く。
つまり、ミツバチの世界にも人間の都合を強要しすぎた反動が起こっているのであろうとし、最後にはアインシュタインの名言「もしハチが地球上からいなくなると人間は4年以上は生きられない」という、衝撃的なコトバで番組は締めくくられた。
もともと自然界では多様な生物が有機的に交差しながら、バランスと調和を保って暮らしている。しかし人間は上記の例からもミツバチを「生物」としてではなく、農産物などの生産に必要な「資材」として長らく扱ってきてしまった。「受粉作業」「密採集作業」のための道具として酷使し続けられたのでは、いくら働きバチと言っても過労死してしまうのも無理はないかもしれない。
狂牛病による牛の大量死。
ミツバチの大量死。
新型インフルエンザによる人の集団感染危機。
人間の身勝手で壊した自然界の連鎖やバランスの代償は、こうした多くの謎の現象でメッセージされ始めているのだろうか。。。
幼い頃から「ハチ」というあだ名で呼ばれることの多かった私は、虫のこととはいえ人一倍他人事では無い気分である。
(八村 大輔)